小部屋の住人 =かに= |
ノスタルジー 日曜の昼下がり、ふと思い立ち散歩に出てみる。 見慣れた住宅街を抜け、入った事のない路地裏へと入って行く。 表通りの近代化された住宅街とは裏腹に広がった、昭和の世界。 人々から忘れ去れた様なセピアな世界が広がっていた。 古びた木造平屋の建物が僅か3m道路の両脇に立ち並んでいる。 道路に蝋石で書いた絵が何か懐かしく見えてる。 木で出来た門扉の向こう側に柿の木が実を付け重そうにしている。 木柱で出来た電柱、丸い形の郵便ポスト。 軒先に吊るさせた季節はずれの風鈴が涼しい音色を響かせた。 「りーん」 その瞬間、セピアの世界に色が戻り始めた。 色、音の洪水。 ラッパを吹き鳴らす豆腐屋、縁側で将棋をさす人々の声。 所狭しと駆け回る子供達。 家の窓からは夕食を作る音、香る味噌汁。 七輪で焼く秋刀魚の煙。 面倒くさそうに伸びをする猫。 俺はそっと笑みをたたえ踵を返し、路地の出口へと向かって歩きだす。 あの角を曲がればいい。 それでいい。 ちょっとしたノスタルジー。 夕日を浴びた顔はきっと笑っている事だろう。 生きている、そんな実感を噛み締めていた。 そんな日曜の夕暮れ時、ただそれだけの事。 ただ笑えばいい、俺は俺なのだから。 きっと明日はいい日になるに違いない。 |
昭和に馳せるノスタルジックな気持ちというものが、自分の中には有るようです。 横浜のラーメン博物館に行った際にちょっとした昭和の世界を味わったのが、この詩を創るきっかけです。 私の知っている昭和というよりも、昭和30年代をイメージして創っています。 ちょっとしたノスタルジックな気分に慕って頂ければ幸いです。 |
気の向くまま、気取らず、思いのままに そんな気持ちで詩を書いています。 心の多角形を素直に、ありのままに、表現できればと思っています。 肩肘を張らず、リラックスしてお越し頂ければ幸いです。 ※詩の投稿コーナーも有り。 |
【秋のコラボ祭り】 牧草月 |