小部屋の住人 =Tetsu=


【自選短歌三首】

 

重ねても重ねてもなお哀しみは我が丈越えて天に届かず


あじさいの花を訪ぬる蝸牛失せにし後を色にこそ見よ


遥々と老魚の墓を尋ね来て吾知る汝知る海こそ詩なれ





素敵な小部屋を頂戴したので、HPに公開している短歌の中から三首ほど自選してみました。
最初の一首、これは25年程前に書いたのものです。哀しみを見誤ることなく、重ね行く事の意味を忘れないために。
二首目 は朱雀さんのもう一つのサイト『硝子の羅針盤』の手習い草子に投稿したもの。妙に気に入っています。
そして最後は『青魚』というサイトを運営している天下茶屋さんの詩への返歌。

こうして歌を選ぶ事ひとつとっても、今の自分の位置を知ることができますが、
なにより、2004年は短歌を書き連ねることができた年でありました。
朱雀さんに感謝。



【第三紀CHAOS&LANGUAGE】

極北の氷河の先端を支えていた
最後の力が消え失せる時
巨大な青い氷塊は、海に崩れ落ちる。
太古の昔、天からこの地上に最初の雪が
舞い落ちた時からの約束の出来事であった。

彷徨いはじめた氷山が
耐え続けた時間とは比べようもないが、
どれほど私は待ち焦がれただろうか。
この地上において天と人を切り結ぶ唄を。
いや、私でなくともきっと誰かが...と、
タカをくくっていたのかも知れない。

時が流れ、時代が移 り、言葉はその力を失い続けている。
今や若者は、サイバースペースの中で
心中仲間を探し求め、またそれが実際に見つかる始末。
夢と現が交錯する仮想空間の中で、命のなんと軽いことよ。
言葉はついに人を地に引き止める力すら無くしたか。

今を去ること22年。
「ジャパネスクコンサート−音霊乱舞」と
銘打ったコンサートがあった。
世の歌のあり様にアンチテーゼを突きつけた三人の唄い手がいた。
その中で、「日本 語を信じる」と言いのけたのは私だ。
だからこそ、どうしても再び唄い始めなければならない。

間違いなく、言葉と人と神とは一つであったのだ。
生くるも言葉、死すも言葉なのだ。


という訳で、「アカシック・フォーク・ロック」という未公認ジャンルの音楽を演っている
『CHAOS&LANGUAGE』というユニットのHPの住人です。
歌詩は「Lyrics」に、詩や短歌は「Tetsu' Room」に置いてあります。
詩人さんや絵描きさんとはまた違った趣のサイトですが、一度覗いてやって下さい。


                                                      
CHAOS&LANGUAGE 
【冬のコラボカーニバル】 恋  人


BACK     HOME