石積み歌 四十由旬(ゆじゅん)の 向こう岸 渡るに渡れぬ 童部(わらわべ)が 賽の河原で 石な子拾い ひとつ積んでは またひとつ 父母(ちちはは)恋しと 漬(ひず)ち泣く 仏の功徳を 得んがため 粗末な塔(あららぎ) 築けども おどろおどろし 獄卒が 歪な塔を 打ち壊す 棘(いばら)で血塗れた 両の手で 花を手折りて 差し出すも 重科を犯した 子の罪に 父の涙は 火の雨と 母の涙は 氷(ひ)となりて 其の身の底で 蟠(わだかま)る 魔風(まかぜ)にカラカラ 音を立て 廻り続ける風車 悲し悲しと 泣く声を 地蔵菩薩に 届け賜(た)も |
このイラストは上遠野蛙さんがPixia倶楽部の『風祭り』に出品されていたのを見た時から、
いつか詩を書いてみたいと強く思ったイラストです。
親より先に死んだ子供の罪は重く、その罪で三途の川を渡ることも出来ない子供達は、
向こう岸を見ながら少しでも仏様の功徳を得ようと、賽の河原で石の塔を築きます。
その悲しさと切なさを詠った歌が、このイラストの向うから風車の音に乗って聞こえた
気がして『ひとつ積んでは母のため ふたつ積んでは父のため・・・』で有名な
『賽の河原地蔵和讚』を朱雀風に石積みの歌として書いてみました。
蛙さん、この素晴らしいイラストとコラボレーションする事を快く承諾して頂きありがとうございました。