小部屋の住人 =九鬼 ゑ女=



輪廻                                    
――
 終ワリハ…始マリノ

 


「 …時が訪れたわ 」
"
あのヒト"の声がそう告げる……
撓んでいたwatashiのココロが攣れる

 

いつからだろう
あらゆる美は汚物と化し
空虚なアラガイだけが遺った

 

何を思ったのか
あのヒトは∞を象ったドームを創った


 その精巧に構築されたドームの底
仄かに平安の香りが灯る場所で
宙を浮遊する"シカバネ"がひとつ

 

それが、…………………watashiなのだ

 

屍となったwatashiに過去の連鎖はない
なのに、“それ”も…だ
無意味な不協和音を発し、
現実という時にアラガッテいるのだ

 


あのヒトはこの星全ての生命体の母
時に"神"とも崇められた運命操り人
そして
……
剥奪された色彩だけが漂うこのドーム

ここはあのヒトの<u-ter・us>
そう、子宮という器官

 

頭の上では螺旋の産道が身を捩じらせ
桎梏に囲われた胎内へとwatashiを誘う

 

ああ…
とうとう来たのか

watashi
の終ワリが?……いいえ、始マリが!

 

臍の緒という一縷の糸に縋りながら

watashiは慄くココロを諌めると

『原罪』を擁いたまま暗渠に蹲った

 

いま、

    未知なるColorの世界へと
     watashi
は再び生まれようとしている
    



「蘭の会」の新しいアンソロジーの出品作です。


九鬼ゑ女。名前の通りあまたの鬼を棲まわせるあたし。
そんなあたしも、誰かに愛されたい、そう願いつつ、あたしの中の鬼たちが今日も何かを吐き出している。
吐き出したものでサイトはドロドロかもしれない。

そんな「九鬼ゑ女のギャラリー」ですが…皆様のお越しをお待ちしています。

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